駐車対策の現状2018

第1 駐車問題の現状

1 瞬間路上駐車台数

平成28年に実施した調査によると、東京都特別区における瞬間路上駐車台数は約5万7,000台(前年比約0.5%増加)であった(図表1参照)。 平成19年と比較すると、違法駐車は減少しているものの、依然として幹線道路等における交通渋滞の要因となっているほか、駐車車両への衝突事故や駐車車両に起因する交通事故が後を絶たず、道路交通への著しい障害となっている。

図表1 東京都特別区及び大阪府における瞬間路上駐車台数の推移(平成19年~28年)

図表1 東京都特別区及び大阪府における瞬間路上駐車台数の推移(平成19年~28年)

 

 

2 駐車車両への衝突事故等

平成28年中の駐車車両への衝突による交通事故については、人身事故の発生件数が832件、うち死亡事故の発生件数が31件(死者35人)であった(図表2参照)。また、駐車車両に起因した交通事故については、人身事故の発生件数が1,565件、死亡事故の発生件数が4件(死者4人)であった(図表2参照)。

図表2 駐車車両への衝突による交通事故の推移(平成19年~28年)

図表2 駐車車両への衝突による交通事故の推移(平成19年~28年)

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3 駐車問題に関する110番通報

平成28年中の110番通報のうち駐車問題に関する要望・苦情・相談の件数は約9万3,000件であり、要望・苦情・相談に関する110番通報件数の約13.1%を占めるなど、駐車問題に関する国民の関心の高さを示している(図表3参照)。

図表3 駐車問題に関する110番通報件数の推移(平成19年~28年)

図表3 駐車問題に関する110番通報件数の推移(平成19年~28年)

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第2 総合的な駐車対策の推進

1 駐車規制の延長距離

駐車規制は、駐車による交通の危険を防止し、交通の円滑を図るため、道路の構造や地域の交通実態に応じて実施している。平成28年度末現在、全国の都道府県公安委員会が行っている駐停車禁止又は駐車禁止規制の規制延長距離は約17万㎞であり、一般道路の実延長距離約121万2,000km(平成27年4月1日現在)に対する規制率は約14%である。

2 より合理的な駐車規制の推進

駐車規制については、より合理的なものとなるようきめ細かな見直しを推進しており、平成16年1月から平成29年3月末までの間に、全国において、約4万3,700区間(約3万2,900km)にわたる駐車規制の解除・緩和を図っている。今後も、必要やむを得ない駐車需要への対応が十分でない場所を中心に、地方公共団体、道路管理者、関係事業者等による自主的な取組を働き掛けるとともに、以下の点に留意して、交通実態の変化に即した駐車規制を推進することとしている。

⑴要望意見への積極的対応

駐車規制は、交通参加者や地域住民の要望意見に十分配慮しつつ、交通の安全と円滑を図る観点から、実施又は緩和を行っており、特に駐車規制の緩和に係る要望であって、地域住民等の意見に基づき具体的な道路の部分を特定して行われるものについては積極的な検討を行い、その結果に基づいて必要な対策を講じている。

≪商店街対策の実施状況≫

商店街対策の実施状況

商店街における駐車需要に対応するため、駐車車両を駐車規制の対象から除くとする規制の緩和例

⑵物流の必要性への配意

物流業務が国民生活上重要な役割を果たしている一方、中心市街地を始めとする都市内において、貨物自動車の道路上での無秩序な駐車が交通渋滞等を引き起こしている例もある。そこで、貨物の積卸し又は集配のため、貨物自動車の駐車が必要不可欠と認められる道路の部分について、一定の条件の下で貨物自動車を駐車規制の対象から除くこととするなど、物流業務に配意した駐車規制の見直しに努めている。

≪物流に配意した駐車規制の実施状況≫

貨物車の駐車需要の多い道路の部分を貨物集配中の貨物車に限り駐車規制から除くとする規制の緩和例

貨物車の駐車需要の多い道路の部分を貨物集配中の貨物車に限り駐車規制から除くとする規制の緩和例

貨物車の駐車需要の多い時間帯を貨物集配中の貨物車に限り駐車可能とする規制の緩和例

貨物車の駐車需要の多い時間帯を貨物集配中の貨物車に限り駐車可能とする規制の緩和例

⑶時間制限駐車区間規制の実施の検討

路外駐車施設の整備が十分でなく、路上における短時間の駐車の需要が高いと認められる道路の部分について、当該部分における駐車秩序を確保する必要があるときは、時間制限駐車区間規制の実施を検討することとしている。平成28年度末現在、全国の都道府県公安委員会が行っている時間制限駐車区間規制は1,291区間(約336km)であり、パーキング・メーター1万5,730基、パーキング・チケット発給設備1,126基(駐車可能枠数7,057台分)をそれぞれ設置し、管理している(図表4参照)。 なお、パーキング・メーター及びパーキング・チケット発給設備のうち、利用率が低いものについては、撤去を検討することとしており、撤去後は自転車レーンの整備、歩道拡幅等既存の道路空間の有効活用に配意している。

≪時間制限駐車区間規制の実施状況≫

周辺施設の短時間利用者の利便性向上を目的とした時間制限駐車区間規制の実施例

周辺施設の短時間利用者の利便性向上を目的とした時間制限駐車区間規制の実施例

貨物車の駐車需要に配意した貨物車専用時間制限駐車区間規制の実施例

貨物車の駐車需要に配意した貨物車専用時間制限駐車区間規制の実施例

図表4 パーキング・メーター等の設置状況の推移(平成19年度~28年度)

図表4 パーキング・メーター等の設置状況の推移(平成19年度~28年度)

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注1 「メーター」はパーキング・メーターを、「チケット」はパーキング・チケット発給設備をそれぞれ示す。
 2 パーキング・メーターの駐車可能枠数は、設置基数と同数である。

≪パーキング・メーターの撤去による道路空間の有効活用状況≫

≪撤去前≫

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≪撤去後≫

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利用率の低いパーキング・メーターを撤去し、自転車専用通行帯(カラー舗装)を整備した道路空間の有効活用例

⑷二輪車に配意した駐車対策の推進

二輪車の駐車需要が満たされていない地域については、地方公共団体、道路管理者、民間事業者等に対して二輪車の駐車場の整備を働き掛けているほか、地域の交通実態等に応じ、駐車規制の対象から二輪車を除くなど、きめ細かな対応に努めている。

≪二輪車に配意した駐車対策の実施状況≫

普通自動二輪車(125CC以下)及び原動機付自転車を駐車可能とする規制の緩和例

普通自動二輪車(125CC以下)及び原動機付自転車を駐車可能とする規制の緩和例

原動機付自転車を駐車可能とする規制の緩和例

原動機付自転車を駐車可能とする規制の緩和例

 

≪二輪車駐車場整備状況の年別推移(都内)平成19年度末~平成28年度末≫

≪二輪車駐車場整備状況の年別推移(都内)平成19年度末~平成28年度末≫

※(公財)東京都道路整備保全公社把握に係る数字

その他の駐車対策事例

観光バスの路上駐停車により交通渋滞が発生し、近隣住民から苦情が多数寄せられ、テレビや新聞等にも取り上げられるなど、観光バスの路上駐車が社会問題化していた地域において、関係機関と連携して乗降場所の指定に関するルール化と観光バス事業者への周知を図るとともに、観光バスの乗車場所に関するインターネット予約システムを構築し、併せて、観光バスの駐停車対策に関する条例の制定について必要な助言を行うなど、総合的な対策により交通渋滞を解消した。

≪対策例≫

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図表5 主な周辺施設の状況

図表5 主な周辺施設の状況

3 高齢運転者等専用駐車区間制度の運用

身体機能の低下が運転に影響を与えるおそれのある高齢運転者等を支援するため、道路標識により高齢運転者等専用駐車区間に指定されている場所では、高齢者等が運転し、都道府県公安委員会が交付した高齢運転者等標章を掲示した普通自動車に限り、駐車又は停車をすることができることとしている。

⑴高齢運転者等専用駐車区間の設置状況

平成28年度末現在、高齢運転者等専用駐車区間の設置箇所数は、

  • 高齢運転者等専用駐車区間が472箇所(1,430台分)
  • 高齢運転者等専用時間制限駐車区間が4箇所(5台分)

となっており、高齢運転者等の利用が多い官公庁、病院及び郵便局・銀行等の周辺道路に設置している(図表5参照)。

図表5 主な周辺施設の状況

図表5 主な周辺施設の状況

≪高齢運転車等専用駐車区間の設置状況≫

≪高齢運転車等専用駐車区間の設置状況≫

 

 

 

 

 

 

 

⑵高齢運転者等標章交付状況

平成28年度末現在の高齢運転者等標章の有効枚数は約6万3,100枚で、道路交通法第45条の2第1項第1号に掲げる者(70歳以上の者)に対し約6万1,100枚、同第2号に掲げる者(両耳の聴力が補聴器を用いても10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえない程度の聴覚障害のあることを理由に免許に条件を付されている者及び肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている者)に対し約600枚、同第3号に掲げる者(妊娠中又は出産後8週間以内の者)に対し約1,500枚を交付している。

4 違法駐車の効果的な取締り

⑴違法駐車の取締り

平成18年6月から現行の駐車対策法制が施行され、警察署長は、放置車両の確認事務を都道府県公安委員会の登録を受けた法人に委託することができることとされた。平成29年4月1日現在では、全国406警察署において、54法人に委託され、約2,000人の駐車監視員により、地域住民の意見、要望等を踏まえて策定・公表されているガイドラインに沿った、メリハリのある違法駐車の取締りが行われている。平成28年中の放置車両確認標章の取付件数は、132万9,894件(うち駐車監視員によるもの92万2,716件)であった。また、平成28年中、放置違反金を納付しなかった者に対する滞納処分を1万6,427件(徴収件数)、車検拒否を1万6,123件実施し、放置違反金納付命令を繰り返し受けた常習違反者に対する車両の使用制限命令を2,622件行った。

⑵悪質な駐車違反に係る責任追及

放置駐車違反のうち、交通事故の原因となった違反や常習的な違反等悪質な違反については、運転者及び使用者の責任追及を図っている。

【事例】

  • 放置違反納付命令後の督促状の送付を受けながらも納付しない悪質滞納者に対して、道路交通法に基づき、給与の差押えによる強制徴収を実施した。
  • 繁華街において、駐車違反の取締りを免れようと、他の者に交付された駐車禁止に係る除外指定車標章を複数回、不正に使用した者を偽計業務妨害罪で通常逮捕した。

⑶違法駐車車両の移動等の措置

道路における交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要があるときは、移動保管措置を行い、違法駐車車両の早期排除に努めている。平成28年中の移動保管措置件数は241件であった。

5 駐車対策のための各種システムの運用

⑴違法駐車抑止システムの運用

違法駐車抑止システムは、交差点にテレビカメラ及びスピーカーを設置し、違法駐車車両を監視するとともに、必要に応じ音声で警告することにより、違法駐車の抑制を図るものであり、平成28年度末現在、97都市で運用されている。

⑵駐車誘導システムの運用

駐車誘導システムは、駐車場を探したり、その空き待ちをしている車両による交通渋滞の緩和や交通事故の防止を図るとともに違法駐車を防止するため、交通管制システムと連動して、駐車場の位置、満空状況、駐車場までの経路、交通渋滞の状況等に関する情報を運転者に提供し、空き駐車場への誘導を行うものであり、平成28年度末現在、8都市で運用されている。

6 関係機関・団体との連携による駐車対策の推進

⑴違法駐車防止条例の制定

ア 違法駐車防止条例の制定の働き掛け等

違法駐車防止条例は、自治体に違法駐車の防止に関する必要な施策の策定及び実施を義務付ける一方で、市民に違法駐車防止の努力及び自治体が行う駐車対策への協力を義務付けることにより、行政と市民が一体となって違法駐車の防止に取り組むことを趣旨とするものであり、警察では、各自治体に対し当該条例の制定を働き掛けるとともに、その運用に必要な協力と支援を行っている。平成29年4月1日現在、違法駐車防止条例を制定している自治体の数は273(202市14区55町2村)となっている(図表6参照)。

イ 条例制定自治体における違法駐車防止活動

条例を制定した自治体においては、条例に基づいて違法駐車防止の重点地域や重点路線を定め、違法駐車防止指導員等による広報啓発活動等の違法駐車防止活動が積極的に行われている。

図表6 違法駐車防止条例の制定の推移(平成20年~29年)

図表6 違法駐車防止条例の制定の推移(平成20年~29年)

注 各年4月1日現在における集計である。

⑵関係機関・団体等との連携の強化

ア 広報啓発活動

警察では、都道府県交通安全活動推進センター、報道機関等の協力を得て、違法駐車に起因する交通事故の実態、交通渋滞の状況等違法駐車の危険性、迷惑性についての情報を提供するなど、違法駐車抑止のための広報活動を行っている。また、地域交通安全活動推進委員等の民間の指導者を対象とする研修会の開催、違法駐車の実態等に関する資料の配布等違法駐車抑止のための活動が効果的に行わるよう必要な支援を行っている。地域交通安全活動推進委員は、平成29年4月1日現在、1万7,991人が公安委員会から委嘱を受け、広報啓発活動、協力要請活動、相談活動等を行っている。
イ 駐車対策協議会等の設立による各種駐車対策の推進

警察では、地方公共団体、道路管理者等とともに駐車対策協議会等を設立し、地域における駐車問題を協議・検討して、各種の駐車対策を推進している。

⑶駐車場の整備等の働き掛け

ア 駐車場の整備状況

平成28年3月末現在、駐車場の設置箇所数は、

  • 都市計画駐車場※1が450箇所(11万9,872台分)
  • 届出駐車場※2が9,282箇所(176万2,050台分)
  • 附置義務駐車施設※3が6万8,660箇所(310万6,853台分

となっている(図表7参照)。
イ 駐車場の整備及び有効利用についての働き掛け

警察では、地方公共団体に対し、駐車場附置義務条例の制定、公共駐車場の整備等を働き掛けており、平成28年3月末現在、駐車場附置義務条例を制定している自治体の数は198自治(荷さばき駐車場の附置を義務付けている自治体の数は89自治体)となっている。また、駐車対策協議会等の場を通じて、休日や時間外における駐車場の開放等を働き掛けるなど、既存駐車場の有効な利用について積極的な働き掛けを行っている。

図表7 駐車場の整備状況(平成18年度末~27年度末)

図表7 駐車場の整備状況(平成18年度末~27年度末)

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 注1 国土交通省「自動車駐車場年報(平成28年度版)」から作成
 2  自動車保有台数は、登録自動車(道路運送車両法第4条)に軽自動車(同法第60条、ただし二輪を除く。)を加えた数値である。
 ※1 都市計画駐車場
都市計画に定められた駐車場をいう。円滑な都市活動を支え、都市生活者の利便性の向上、良好な都市環境を確保するうえで必要な施設として定められる。
 ※2 届出駐車場
都市計画区域内において、自動車の駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上の路外駐車場でその利用について駐車料金を徴収するものを設置する者は、国土交通省令で定めるところにより、路外駐車場の位置、規模その他の必要事項を都道府県知事等に届け出なければならない。この届出をされた路外駐車場を届出駐車場という。
 ※3 附置義務駐車施設
地方公共団体は、駐車場整備地区内等において、延べ面積が一定規模以上の建築物を新築・増築する者に対し、条例で、その建築物又はその建築物の敷地内に自動車の駐車のための施設を設けなければならない旨を定めることができる。この条例に基づき附置される駐車施設を附置義務駐車施設という。

7 バリアフリーのための駐車対策の推進

警察では、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく重点整備地区の生活関連経路を構成する道路等、高齢者、障害者等が生活上利用する施設の周辺等において、バリアフリーを妨げる横断歩道上、バス停留所周辺、視覚障害者誘導用ブロック上等の違法駐車車両に対する取締り、違法駐車防止についての広報啓発活動等を推進している。

8 保管場所の確保対策の推進

⑴保管場所証明等

ア 保管場所証明等

道路が自動車の保管場所として使用されることを防止するため、自動車の保管場所の確保等に関する法律(以下「保管場所法」という。)に基づき、登録自動車の保管場所証明書の交付、軽自動車の保管場所に係る届出の受理等を行っている。平成28年中の保管場所証明申請の受理件数は759万4,205件であった。(図表8参照)。

図表8 保管場所証明申請受理件数の推移(平成19年~28年)

図表8 保管場所証明申請受理件数の推移(平成19年~28年)

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イ 保管場所標章の交付

警察署長は、登録自動車の保管場所証明書を交付したとき、軽自動車の保管場所の届出を受理したとき等は、自動車の保有者に対して保管場所標章を交付しており、保管場所標章の交付を受けた者は、保管場所標章を自動車の見やすい場所に表示することとされている。平成28年中の保管場所標章の交付件数は873万3,287件であった。(図表9参照)。

図表9 保管場所標章交付状況

図表9 保管場所標章交付状況

ウ 保管場所証明等の適用地域

保管場所証明等の適用地域は、登録自動車については東京都特別区並びに全ての
市、町及び一部の村、軽自動車については東京都特別区及び一部の市とそれぞれ定
められている。

⑵保管場所法違反等の取締り

道路上を自動車の保管場所として使用し、又は自動車を道路上に長時間駐車するいわゆる青空駐車や、自動車の保管場所を確保していないにもかかわらず、自動車を保有するために、自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置等を偽って保管場所証明を受けるいわゆる車庫とばしは、道路使用の適正を阻害するほか、道路交通の安全と円滑に支障を及ぼすことから、保管場所法違反等の取締りを推進している。平成28年中の青空駐車等の取締件数は2,136件、車庫とばし事件の検挙件数は33件であった。

⑶自動車保有関係手続のワンストップサービスの運用拡大

自動車登録・検査、保管場所証明、車体課税の納税・申告等の制度所管官庁の異なる行政手続をオンラインで一括して実施可能とする自動車保有関係手続のワンストップサービス(「OS」)については、平成29年10月末現在、14都府県警察において運用しているところである。平成28年度からOSS警察共同利用型システムの運用を開始しており、将来的に全国で同システムが利用可能となるよう、今後も運用の拡大が図られる予定である。